月経困難症(生理痛)Dysmenorrhea

「月経困難症(生理痛)」とは、月経にともなう症状が強くて、仕事や家事などの日常生活に支障をきたしている状態です。

症状

月経痛(生理痛)といわれる下腹部痛や腰痛のほか、吐き気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、いらいら、憂うつなど

原因

月経血が子宮の外へスムーズに流れないことや子宮を収縮させる物質が多く作られることにより、子宮が強く収縮して、下腹部痛や腰痛などが起こると考えられています。
また、「子宮内膜症」や「子宮筋腫」などの病気が原因となっていることもあります。

治療方法

薬物療法

鎮痛薬 下腹部痛や腰痛など痛みに対して使用する
ホルモン療法 卵巣や子宮内膜に働いてさまざまな症状をおさえる(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)や黄体ホルモン)

★低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)
排卵を休ませることで、子宮内膜が厚くならず、生理を軽くする。
メリット: ・月経周期が安定する
・月経痛が軽くなる
デメリット: ・服用できない人もいる(年齢・喫煙・高血圧など)
・毎日同じ時間に服用することが必要
・血栓症のリスクがある(10,000人に9人程度)
副作用:血栓症、吐き気、頭痛、不正出血など
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP) ルナベルLD
(後発品)フリウェルLD
ルナベルULD
(後発品)フリウェルULD
★黄体ホルモン
1)ジェノゲスト
子宮内膜症、子宮腺筋症の病変を縮小し、症状を改善する。
メリット: ・血栓症の心配がなく、多くの女性に適応する
・月経の回数を減らすことで子宮や卵巣を守る効果が高い
デメリット: ・毎日二回服用することが必要
・5~10%は排卵する(避妊の適応はない)
副作用:不正出血・更年期障害のような症状(ほてり・頭痛・抑うつ症状)
黄体ホルモン ディナゲスト
(後発品)ジェノゲスト
2)ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)
直接子宮に挿入し、少しずつお薬が作用するしくみ。やわらかいプラスチックでできています。黄体ホルモンの作用で子宮内膜が厚くならず、月経痛を軽くする。
メリット: ・一度装着すれば最長で5年間効果が続く
・避妊効果が高い(正しく装着した場合、1年間に妊娠する確率0.2%(500人に1人))
・毎日薬を服用する必要がない
デメリット: ・定期検診が必要(装着の1か月後、3か月後、6か月後、1年後、それ以降は状況に応じて1年に1回以上)
・ごくまれに自然に抜けてしまうことがある
・経膣分娩歴がない方は、挿入が困難なことがある。
・感染症が起こることがある
副作用:挿入後数日は下記のような症状がみられることがあります。症状が長く続いたり、痛みがひどい場合は受診してください。
・下腹痛  ・月経時期以外の出血  ・月経周期の変化  ・腰痛  ・過長月経(8日以上)

※月経困難症(生理痛)がある場合は保険適応ですが、避妊目的のみの場合は私費(65,000円)になります。
※ミレーナについて、詳しくは下記サイトをご覧ください。
https://betterl.bayer.jp/whc/mirena

手術療法

痛みを起こしている原因疾患が進行している場合、手術という選択肢もあります。

月経のときは痛くて当たり前、とガマンし続けると病気が進行する可能性もあるため、日常生活に支障をきたす痛みなど症状がつらい時には、医師にご相談ください。

子宮がんUterine cancer

子宮頸がん

「子宮頸がん」は、子宮の入り口部分(頸部)にできるがんです。
日本人女性のがんの中でも比較的多く、また20~40歳代で近年増加しています。

症状

早期の子宮頸がんは自覚症状がないことが多いですが、不正出血(月経以外の出血・閉経後の出血など)や、月経が不規則などの症状がある場合、すぐに医療機関を受診してください。

子宮頸がん検診

20歳以上は2年に1回子宮頸がん検診を受けることがすすめられています。
ほとんどの市町村では、公費助成があり、一部の自己負担で受けることができます。月経(生理)中は避けて検査を受けてください。

HPV検査について

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関連しています。
HPVとは、性交渉などによってほとんどの女性が感染するといわれている一般的なウイルスです。子宮頚部の細胞に感染しても、多くの人は1~2年以内に消失します。ところが、約10%の人はHPVが残り、感染が持続することがあります。その場合、5~10年という年月を経て子宮がんへと進行していく可能性があります。

費用
HPV検査 6,050円
  • 子宮頸がん検診時に一緒に行うことも可能

子宮体がん

「子宮体がん」は、子宮の内膜(体部)にできるがんです。

症状

最も多い自覚症状は出血です。月経ではない期間や閉経後に出血がある場合は注意が必要です。
他に、排尿時の痛みや排尿のしにくさ、性交時の痛み、下腹部の痛みなどの症状があり、進行した場合は腹部膨満感(おなかの張る感じ)があらわれることもあります。
特に、閉経前後や閉経後の方、肥満、出産経験のない方は注意が必要です。

HPVワクチンHPV vaccine

HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。
子宮頸がんを予防するためには、HPVワクチン接種と定期健診による早期発見が重要です。
小児へのワクチン接種プログラムは、世界保健機関(WHO)でも推奨されており、世界中でワクチン接種が実施されています。
また、17歳未満でHPVワクチンを接種すると子宮頸がんの88%を防ぐことが報告されています。

HPVワクチンは、小学校6年生から高校1年生の女性(標準的な接種年齢は中学1年生)は公費助成を受けて無料で接種することができます。
また、令和4年4月から3年間、平成9年度生まれ〜平成18年度生まれの女性への助成も開始されています(キャッチアップ接種)。
ご希望の方は、受付窓口またはお電話にて予約してください。

HPVワクチン

シルガード(9価) 28,980円×3回※1 (令和5年4月から公費助成が開始されました。)

※1 15歳未満開始の場合は2回

キャッチアップ接種の短縮スケジュールについて

MSDのホームページより引用

HPVワクチンのキャッチアップ接種(公費)は、2025年3月末までです。
通常スケジュールでは3回接種に6ケ月かかるため、9月末までに1回目の接種が推奨されていました。
しかし、9月末までに1回目の接種ができなかった人でも、短縮スケジュールをつかえば、最短4ケ月での接種が可能です。

【短縮スケジュール】
1回目を11月末までに接種
2回目は1回目から1ケ月後
3回目は2回目から3ケ月後

※2024年度に高校1年生相当の女子も、公費で接種できるのは2025年3月末までです。

【通常スケジュール】

【短縮スケジュール】

ご不明な点があれば、診療時間内にお問い合わせください。

月経移動
(生理を遅らせるor早める)Menstrual manipulation

旅行や試験など大事なイベントがあるのに、生理が重なりそう…
このような時には、ピルを使って生理をずらすことができます。
月経移動に使用するピルは、中用量ピルといって、女性ホルモンが主成分の薬です。
ピルを内服中は一時的に生理が止まり、内服をやめると生理がくるという仕組みを利用して、月経移動を行います。

生理を遅らせる方法

生理予定日の5~7日前から、ピルの内服を開始します。
そしてイベントが終わり、もう生理が来てもいいと思う日まで内服を続けます。
ピルの内服をやめると、2~3日程度で生理が来ます。
生理を遅らせたい時は、生理予定日の7~10日以上前までに受診してください。

メリット 生理を遅らせるメリットは、医師の指示通り正しく内服すれば、ほぼ確実にイベント期間の生理を避けることができます。
また、生理を早める方法よりも成功率がやや高くなります。
デメリット デメリットは、イベント期間中も忘れずに内服しなければいけないこと、吐き気・嘔吐・頭痛・倦怠感・胸の張りなどの副作用が、イベント期間中に起こる可能性があることです。

生理を早める方法

早めたい生理の、一つ前の生理開始3~5日目からピルの内服を開始します。
ピルを10日間以上内服し、ピルの内服をやめると、2~3日程度で生理が来ます。
ピルを飲む期間が短すぎると、月経移動に失敗しやすいため、必ず10日間以上は内服します。
生理を早めたい時は、早めたい生理の、一つ前の生理が始まるまでに受診してください。

メリット 生理を早めるメリットは、生理をずらしたい期間にピルを内服する必要がないため、生理が終わって体調が良好な時期に大切なイベントを迎えることができます。
デメリット デメリットは、生理を遅らせる方法より成功率がやや低くなることです。

ピルの副作用
  • 吐き気
  • 胸の張り
  • 倦怠感
  • 不正出血
  • むくみ
  • 下腹部の違和感、痛み
  • 頭痛
  • 血栓症など
ピルが内服できない人(血栓症のリスクが高い人)
  • 40歳以上
  • 静脈血栓症などの既往がある
  • 片頭痛の症状がひどい
  • 原因不明の不正出血がある
  • 1日に15本以上喫煙する
  • 乳がんや子宮体癌の疑いがある、またはかかっている
  • 出産後6週間以内である
  • 授乳中
  • BMIが30以上
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 重い持病がある

※ピルが上記のような理由で内服できない場合は、血栓症のリスクが低い黄体ホルモンで月経移動をすることもありますが、ピルに比べると成功率は下がります。

〈費用〉5,500円

避妊Contraception

経口避妊薬(低用量ピル)

2種類の女性ホルモン(黄体ホルモン・卵胞ホルモン)の入った錠剤を毎日服用することで、排卵がおこらない状態となり、妊娠を防ぐことができます。
また、受精卵の着床を防いだり、子宮内に精子が入りにくくするはたらきもあります。
正しく服用をすれば、避妊効果は高いとされています。

メリット 女性自身で行え、正しく使用すれば失敗率が少ない。
(正しく服用した場合、妊娠する確率は0.3%)
デメリット 副作用がある。かかっている病気などによって服用できない場合がある。

主な副作用

吐き気、頭痛、おう吐、乳房の張り・痛み、不正性器出血

最初の1〜2カ月の間に起こることがあります。
多くの場合は飲み続けるうちにおさまりますが、副作用と疑われるような症状に気づいたら、必ず医師にご相談ください。

血栓症

稀ですが、特に注意が必要な副作用です。
血栓症は血管のなかに血栓と呼ばれる血のかたまりができることが原因で起こる病気です。

1年間の発症率

ピルを服用しない人 10万人あたり約5人
ピルを服用する人 10万人あたり約15~20人(リスクが3~4倍高くなる)
妊婦 10万人あたり約60人

下記の症状がでてきたら、服用を中止して、すぐに救急病院を受診してください。

  • 足の痛み、腫れ、しびれ、発赤、ほてり、脱力、麻痺
  • 突然の息切れ、胸が押しつぶされるような痛み
  • 激しい頭痛
  • 目のかすみ、舌のもつれ

長時間同じ姿勢でいたり、水分が不足したりすると血栓症が起こりやすくなります。
適度に体を動かしたり、こまめに水分をとるようにしましょう。

低用量ピル(私費診療) 1ヶ月約3,000円

緊急避妊薬(アフターピル)

避妊に失敗したとき、または避妊をしなかった性交後、緊急に避妊を行うときに用いるお薬です。
性交後72時間以内になるべく早く服用します。
妊娠を妨げる働きがありますが、完全に阻止できるものではありません。
今後も妊娠する可能性がある場合、計画的な避妊を行う方法として、経口避妊薬(ピル)を服用することをおすすめします。

緊急避妊薬 約15,000円

人工妊娠中絶手術Induced abortion surgery

人工妊娠中絶手術

当院で人工妊娠中絶手術がうけられるのは、妊娠12週未満の方です。
※妊娠12週以降の方は入院が必要となるので、当院では行なっていません。

料金 132,000円(税込)
手術当日、来院時にお支払い頂きます。
初診 妊娠がわかったら、受診してください。
超音波検査等を行なったうえで、手術日を決めます。
手術のために、血液検査(20,000円)を行ないます。
手術当日 12時30分までに来院して頂き、前処置(子宮口を広げる)を行ないます。
子宮口が広がるのを待って、14時30分から手術を行ないます。
手術は通常15分程度で終わります。
退院は18時頃になります。
手術後は麻酔の影響が残るので、車の運転はしないで下さい。
手術後 3~4日後に超音波にて、術後の状態を確認します。

※手術の合併症として、感染症、子宮内容物の遺残、まれですが子宮穿孔等により、再手術や開腹術・輸血が必要となることがあります。

アクセスAccess

所在地 〒771-1221
徳島県板野郡藍住町東中富長江傍示5-6
高速道路 2つのICよりごく近くの非常に便利な場所にあります。
  • 藍住インター(徳島自動車道)より車で3分
  • 板野インター(高松自動車道)より車で4分
088-692-0333 【産婦人科】 9:00~18:30
088-635-6525 【小児科】 9:00~18:00
Pagetop